Treatment各症状別治療紹介
誤嚥性肺炎
人は口や鼻から呼吸しています。口からは食事もします。普通口や鼻から入った空気は喉(のど)を通り、気管(きかん)を通って肺に入りますし、食事は食道を通って胃に入ります。
吸い込んだ空気には、ほこりや細菌、ウイルスなど異物や肺まで届かないように「防御」している機能があります。
気管を拡大した模式図です。
気管の内壁は腺毛(せんもう)という細かな毛でおおわれていて、その上に粘液が付いています。
この腺毛の動きと、粘液で細かな ほこりや細菌、ウイルスを体外へ出しています。
また、もう少し大きな異物や量が多いときは喀出(かくしゅつ)咳や むせるという反応で異物を外に出そうとします。
これらの「防御機能」をすり抜けて肺に入ってしまった異物が、炎症(誤嚥性肺炎など)を起こす原因になります。
しかし、すべてが誤嚥性肺炎を起こす分けではないのです。
誤嚥性肺炎を起こすには、誤嚥物の量・質と喀出力・体力・免疫機能のバランスが、崩れて侵襲(しんしゅう)が抵抗を上回った時に発病することになります。
質にはいろいろ危険なものがありますが なかでも 怖いのが胃液です。胃液は強い酸性ですので肺には大きなダメージを与えることになります。胃液など胃のものが食道を逆流して、間違って気管に入り肺で炎症を起こすことを逆流性誤嚥性肺炎と言います。
誤嚥性肺炎予防
誤嚥予防体操(のどの体操)をご紹介します。
- きれいな空気を吸う。
- 空気や食事の通り道である 口(口腔内)をきれいにする。
歯磨きなどできれいにしましょう。 - 気管と食道の分かれるところ、喉(喉頭 こうとう)の筋肉低下を防ぐ。 喉の筋肉の体操。
- 気管の粘液の量が少なくならないように水分補給(水をよく飲んで体内の水分量を保つことです)
- 胃からの異物の逆流の危険性を少なくする為に食後の体位に気を付ける。
胃瘻(いろう)をされている方も同様です。
気管をふさぐような大きな異物が喉に入ったら、これは窒息ですので、また別の項で「窒息」についてお話します。
往診の現場では食べ物を食道に送る機能「嚥下」機能が低下されている方がおられますので、喉の音を聴診したり、唾を飲込む能力などの検査を行って「摂食嚥下機能」の評価も重要な診察になっています。