Usefulお役立ち知識
親知らず(抜くか!抜かまいか!)
智歯を保存するか抜いてしまうか判断基準。悩みますよねー「抜くの大変だった」とか「抜いた後も痛む!」とか話聞くしなー
「親知らず」とは、前歯から数えて8番目の歯です。最後に歯列の奥に生えてくる歯なので萌出するスペースが狭かったり、無かったりすることがいろいろな問題を起こすことになります。
上顎(上)の親知らずの場合
右の写真は口を大きく開けてもらって撮った写真です。←のところ頬(ほお)が歯と接しています。普段はここまで口を開けないので接すことは無いのですが智歯が外側にずれて萌出する(生える)と頬粘膜に擦れて痛みが出ることがあります。
また、頬と歯列の隙間が少ないので、歯ブラシの先がとどきにくく、清掃が出来なくて「むし歯」になってしまうこともあります。
下顎(下)の親知らずの場合
上の半埋伏智歯・一部萌出智歯。この状態の智歯は食べ物の残りかすや清掃がうまく行いづらい状態なので細菌が増えてむし歯や歯肉炎になり痛みが出てくることの多い生え方です。
下の水平埋伏智歯・垂直埋伏智歯。この状態だと歯肉から歯が外に顔を出していないので、痛みなどの症状が出ないことが多い「親知らず」です。
痛みなど自覚症状がなくでも、黒い部分がむし歯になっていることがあります。
上の歯が下の歯肉に当たって、痛みが出ていることもあります。上の歯の歯肉に当たっているところを削るか。当たっている歯肉を切除するか。
当たっている歯が智歯(親知らず)でしたら最終的に上の智歯の抜歯をお勧めすこともあります。
(上下の智歯を抜歯すればよいのでしょうが、下顎の智歯の抜歯の後、痛みや歯肉の腫れが出る確率が高いので、より痛みの出る確率の低い上の智歯を抜歯して、経過をみる選択を私はとります)
この様な「親知らず」の状態を説明させていただいて、患者様の生活習慣などの口腔清掃状態や妊娠中に「親知らず」が痛み出すことの危険性、また最近では骨粗鬆症の薬としてビスホスホネート製剤の服用、注射を予定されている方などにも将来の危険性を説明させていただき、治療方針を選択していただくことになります。
当医院では抜歯にかかわらず、処置を行った後「痛みなどが出ることがあります」と説明さていただいております。私の経験上、下顎の智歯の抜歯の場合は、痛みが出ない、軽い違和感を訴えられるなどの場合が70%で30%の方に口が開かない腫れ上がった激しい痛み食事がのどを通らないといった症状が1週間から2週間続くことがあると説明します、ただ抜歯を行うに当たってはこの30%の状態を覚悟して心の整理をしていただいて抜歯を了承していただいております。
抜歯後激しい痛みが出る原因の一つに
智歯と下顎骨の位置関係があります。
レントゲンの赤い←のとことをよく見ていただくと管のような画像が写っているように見えませんか
実際に神経や血管が通っている管があるのです。この管と親知らずの根の先端が接していることが、腫れたり激しい痛みを起こす要因になっているのです。
抜歯後、傷口の治癒(治った)後に起こりうることも説明します。
歯を抜いた後に空洞に骨が出来るのには6ヶ月から1年かかります、元の位置まで骨が出来ないので、骨の再生が少ない場合前の歯の歯肉の付着位置が低い位置になり、手前の歯の根が露出してその部分が知覚過敏(しみる)になることがあります。
手前の歯の治療を行う必要も出てきます。
費用は、社会保険の3割負担で抜歯の費用は¥3,500-ほどです。その他に初診料、レントゲン歯の清掃、歯石除去、検査などの処置が加わりますと治療日数4日で¥8,000-ほどです。
「親知らず」の歯牙移植という治療法があります。
むし歯などで歯を抜歯することになったときに、その抜いたところに自分の「親知らず」を抜歯して移植(再植)する治療方法があります。
また、先端歯科医療おいて抜歯した歯を歯根膜という組織ごと冷凍保存して将来必要になったときに使用することも出来るようになりました。